機械学習フレームワーク

ディープラーニングの衝撃

人工知能の衝撃が我々の想像力を超えようとしています。例えば「人工知能が囲碁のチャンピオンの大局観を遥かに凌駕した」、「人工知能が人間以上の安全性で車を運転した」というニュースが世間を賑わしたことは記憶に新しく感じられるのではないでしょうか。

今まで人間にしか出来ないと思われたことの多くが、実は人間と同等かそれ以上の能力で実装可能であったのだったという衝撃は、単なるブームや特定の産業領域を超えて、近い将来、ビジネスや社会のあらゆる複雑な問題も解決していくに間違いありません。そしてその際に人工知能の利用価値は周知のものとなり、「どの人工知能をどう活用するか」というフェーズにまで遷移していくと我々は考えています。
人工知能の目覚しい成果の原動力は、深層学習であることは多くの方が同意するかと思われますが、深層学習はその動作原理や結果解釈が大変難しいため、「黒魔術」と揶揄されることがあります。しかしながら、その「黒魔術」に挑戦していき、効果的に利活用していくこと、また深層学習が実現する物事を理解していくことは、デジタルトランスフォーメーションを体現する我々として、重要な課題だと認識しています。度重なる議論の末、我々は自由度が高く、イメージをただちに実装することが可能な分析フレームワークである「ReNom」を選定しました。

ReNom

ReNomはアカデミックや研究所内の一部のユーザーに限られていた深層学習を一般のユーザーにまで押し広めることを目的として、AIベンチャーであるグリッド社によって2016年5月にリリースされた新しいフレームワークです。

無限の可能性は簡単な記述で

ReNomの特筆すべき強みのひとつは、複雑な深層学習モデルを非常に簡単な実装で表現できることです。たとえばPythonにおける代表的な数値計算ライブラリであるNumpyを意識して設計/作成されており、分析者にとって学習コストは限りなく低くなっています。以下はVGG-16という画像解析で用いられるネットワークモデルですが、各層を上から書き下し、繋げていくだけで簡便に実装可能となっており、channelの数の変更や学習過程での重みやバイアスの値の参照といったことも、ライブラリの深部を調べる必要もなくシンプルなUIから実現出来ます。

全てはチュートリアルから

分析ツールの価値はユースケースの網羅性だといっても過言ではありません。ReNomはチュートリアルとして非常に効果的なユースケースを日々更新し続けています。チュートリアル範囲は手書き文字画像の分類問題や電力予測量の回帰分析といった基本的なものから、YOLO※といったホットな技術まで広くカバーしており、いずれも平易なコーディングで実装されています。これによりチュートリアルのコードを一部実装するだけで様々な課題を達成してくことが出来ると期待されます。さらにはニューラルネットワークを理解するために必要な周辺知識までも掲載されており、ReNomチュートリアルを一通り学習することで、ニューラルネットワークとその周辺知識の基礎を確実に身につけることが出来ます。

※YOLO(You Look Only Ones)はリアルタイムオブジェクト検出アルゴリズムです。オブジェクトの検出とクラス分類を同時に行うアルゴリズムで、例えば写真の中に、犬、自転車、車といった物体がどこに位置しているかを検出することが可能です。

ReNom TDAでデータ本来の構造を俯瞰する

ReNomはデータ解析に関するあらゆる課題をクリアしていきます。下図はGRID社の定めるReNomの技術開発方針です。

2017年10月にGRID社がリリースしたReNom version 2.2は、この中のTopological Data Analysis(位相的データ解析 以下TDA)が機能追加されました。

複雑怪奇なデータを前にしたとき「どう料理すればよいかがわからない。」と感じた経験はないでしょうか。ReNom TDAは高度な数学の一分野である「位相幾何学※」を応用した非常にユニークな手法であり、データの由来や処理状態に関係なく、データの構造を可視化することが出来ます。TDAによりデータ分析でよく見られる光景—データを取得するな否やそれに飛びついて、トライ&エラーで分析を進めていくというようなことがなくなっていくかもしれません。

※位相幾何学とは切り貼りせず連続的に変形しても保たれる性質(輪っかや、空洞を特徴として考える)に注目し、位相空間で繋がりを考える数学の分野です。位相空間でデータの構造や密度を考え可視化することにより、従来の方法ではデータを低次元化する際に失われていた特徴を失う事なく、データの特徴を維持したまま低次元で可視化することが可能になります

来る未来に向けて

我々はReNomを用いてお客様の多様な課題を解決していくことは勿論のこと、お客様にReNomの素晴らしさを広めユーザーを増やしてくための活動も行っています。現在多くのお客様にReNomと、その分析サービスに対して高い関心を持っていただいており、本格展開に向けて体制強化を進めています。

さらに我々はReNomの利用のみならず、ReNomの一部チュートリアルを作成する活動も行っています。ReNomの発展と、その先の「人工知能が我々の日常にとって良い意味での当たり前となる」未来に向けた激動の時代に挑戦し、かつ楽しんでいきたいと思います。